以前、中学から大学まで放送コンテストに出ていたときの思い出を書いたことがある。久しぶりに思い出系の話。でもこれ難しいな、書いていいこと悪いことの判断がなぁ…
選挙のウグイス嬢だった私
私は選挙カーに乗って手を振って、
マイクを持って喋る…そう、
ウグイス嬢
をやっていた。
(ちなみに、今でも仕事のお話を頂く)
きっかけは、私には場違いすぎたあのお嬢様女子大の同級生(美人)の家族の方が統一地方選挙に立候補するので、ウグイスをしてくれないかと言われたこと。
私…大学のとき、学校で何かアナウンスとかしたっけ…?うっすらと記憶にあるのは、イタリア宗教研修のことを、なんかの授業でなんかのプリントみたいなやつをみんなの前で適当に読んだことくらい。宗教研修とその統一選どっちが先だったか、忘れた。
若いって素晴らしいし若いって怖いのだが、簡単に引き受けた、多分。やったこともないのに。
ウグイス嬢になるには
どうでもいいけど、昔、なるにはブックスという本にハマったことがあり、『看護師になるには』とか『幼稚園教諭になるには』とか色々あって、なるわけもないのに読んでいた。なので、それをパクってこの見出しにしてみた。
幼稚園教諭になるには、専門学校、短期大学、大学、大学院などで必要な単位を取得し、幼稚園教諭(一種、二種、専修など)免許状を取り云々とか書いてある本をパクってみたものの、
ウグイス嬢は、
誰でもなれる
以上。
ただし、18歳から選挙権が得られる今も、未成年はダメ。で、氏名や住所などを選挙管理委員会に届け出る必要がある。大抵事務所で書類に記入して、運転免許証とか見せるだけで終わり。
ただ、バイト募集とかで出てくることはかなり稀。私が今まで一緒に仕事をした人達は、大抵司会事務所とかそういうところに登録している人だった。経営してる人もいた。あと、ブライダル司会者が本業の人が多かった。
大抵、選挙に出る人は候補者本人か、もしくはコンサル的な人を雇っていればその人が、長年付き合いをしている司会事務所があったりするので、友達に頼まれたただの大学生はあんまりいない。ていうか見たことない。
たまにカリスマうぐいす嬢とか見かけるけど、選挙ってずっとあるわけじゃないし、統一選なら何日間とか期間が決まった短期の仕事。普段は別の仕事してますっていう人がほとんど。あとは、政党によっては党員の人達が完全にタダ働きでやってるとかもある。どの候補者も必ずウグイス嬢を雇うわけではなく、無所属で立候補して、自転車で自分一人で選挙活動をする人もいる。
お仕事内容〜!!
- 街宣車に乗ってマイク持って喋る
- 桃太郎(商店街とか歩いて喋る)
- 自転車乗って喋る
- 駅立ち
- 素声でビラ配り
- 駅とかに立ってる演説の隣に立つ
- 何か知らんけど立ってる
…いや最後のやつ、
何か知らんけどて。
でも実際ある(笑)
演説をするときは旗を立ててやらないといけないとかこと細かに決まってて、候補者本人の演説や応援に来てくれた人がいればその人の演説の横に立ってるときがある。場所によるけど手も振るし挨拶もするしビラ配りもするけど。
マイクや拡声器を使っての活動ができるのは朝8時から夜の8時までと決まっている。それより前に事務所やその他指定場所(大体は駅)に行き、スタッフジャンパーを着て、腕章をつけて、8時ピッタリにマイクオン。腕章は必ずつけなければならず、たまに『ない!!』とかそんな事件も起きたりするが、いちいち安全ピンで留めたり外したりかなり面倒かつ大事なアイテムなのだ。
色々な仕事があるし、事務所にもよるし、地域や政党にもよるので、これは私の経験談であることは先に書いておく。
やっぱりメインは街宣車
街宣車、つまり選挙カーのこと。これも何台使っていいだとか、公認候補だったらちょっと多いとか、候補者の名前ではなく政党の名前を書いた政党カーがあったり、色々決まっている。
パターンとしては、運転席に当然ドライバーさん、助手席にナビ役の人、後部座席にウグイス二人組というのが多い。ナビ役の人がいるのは、その日どこを走るかはあらかじめ決められているのでドライバーとセットで乗っている場合がある。
助手席に座る人は色々変わる。候補者本人や応援の地元議員さんなど。そして、候補者本人が乗っているときは、ウグイスはめちゃくちゃそれを強調する。
『ご当地、◯◯にお住まいの皆様(◯◯駅前の皆様)こちらは、◯◯党公認候補 野原 野原しんのすけでございます。ただいま、候補者野原しんのすけ本人が、皆様にご挨拶とお願いにと〜』
候補者が乗っていることをしつこいくらいに言う。街宣車を停めて、候補者が降りて演説したりすることもある。候補者は限られた選挙戦の中でしっかりとスケジュールを組み、色々なところへ行くため、候補者が乗っていない選挙カーがあるのは普通。よくあるよね、『あっ、選挙カーだ!なーんだ、本人乗ってないんだ』みたいな。
だから、今は乗ってますよ〜!!とアピる。
ウグイスが街宣車に乗るときは、二人組で後部座席に座る場合、大抵15分交替でマイクを渡し合い、演説や休憩などで降りたタイミングで乗っている場所を左右入れ替わる。理由は、ずっと同じだと片方の腕を振り続けることになりかなりしんどいから。
応援の方が乗られていてウグイスは一人というときでも、その議員さんがめっちゃ喋ってくれる人だったりするとすごいラクなときもある。
手を振ってくれるとガチ嬉しい
何よりもありがたいのは、やっぱり手を振ってくれたり、何々さん頑張ってねー!とか声を出して声援を贈ってくれる方々の存在。別に選挙権のない子供や学生でも激烈ありがたいし、そこにいるからその人が地元の人かどうかなんて判断できないけど、
まじで誰でもいい。
たとえば子供さんが手を振ってくれたら即座に反応し、
『可愛らしいおててを振ってのご声援、ありがとうございます!!!頂きましたご声援を力に変えまして、野原しんのすけ、頑張ってまいります!これからの日本(とかそこの地名)の子供さんたちの未来を云々〜子育て支援をどうのこうの〜』
とか言う。
高齢者の方もよく手を振ったり、頑張ってー!とか言ってくれる。そのときは上の文章の後半は医療だとか福祉サービスがどうのこうのとかにする。
同じようなことを喋り続けてしんどいときに手を振ってくれるのを嬉しいと思わないウグイスは多分いない。そこで言っている『ありがとうございます!!!』はマジで嬉しいしテンションの上がった喋り方になる。手を振ったからまあ反応してるんでしょと思う人もいるかもしれないが、ガチの感謝を全力で述べていると思ってください。
嬉しいが、見逃しては大変なので、こちらに手を振ってくださったのはしっかりと見えています!ということを必ず言う。まあ定番は『お手を振ってのご声援ありがとうございます!』だが、バリエーションは色々。
- お出ましを頂いてのご声援〜
- 高いところからのご声援〜
- お店の中からのご声援〜
- お車の中からのご声援〜etc
暑さ寒さ雨風日差しは鬼
これはもうどうしようもないが、どんな天気だろうが、『今日雨だしやめとこうか』なんてことは絶対にないので、夏の選挙は死ぬほど暑いし、冬に車の窓を開けて手を振ってると凍るんじゃないかと思う。雨に濡れるなんてもう当たり前。地味にキツいのが強風で、手を振るのもキツいが、車の中のものが吹っ飛んでいきそうになるとかそんなトラブルも起こる。
白手袋をはめているが、それだと冷たすぎて寒すぎて百円ショップに飛び込み、ちょっとモコモコした白い手袋を買ったこともある。遠目に見てもわからないし。
ひざ掛けは持参することもあれば、事務所にあることも。カイロもくれたりする。それでも真冬の選挙だとめちゃくちゃ寒い。私は暑さよりは寒さに強いが、それでもさすがに窓開けた車にずっと乗ってたら、
普通に寒い。
いつだったか、吹雪に遭ったこともある。幸いというか吹雪いてたのもあるし人が全然いなかったので、車の中も大変なことになって、これはヤバいとさすがに窓を閉めた。
歯がガタガタしそうになっても、そんなのは堪えて必死で喋っている。実物のウグイスなど鳴くはずもない厳寒の冬でも、窓全開で必死で喋る。
(あ、真夏の選挙はあまり経験ない)
真冬の激寒いときに素声を張り上げてビラを配ったときは、マッチ売りの少女の気持ちが痛いほどわかった。
手の振り方の特徴
ウグイスの手の振り方は、人によるとは思うが、指の間を閉じて、あまり左右にぶんぶん振らず、小刻みみたいな感じで振っている。
あまり手の動きを大きくしてぶんぶん振ってしまうと、ブレブレになって手を振っているのが見えないから。指は閉じて、横方向には小さめの動きで振ったほうが手を振っているのがちゃんと見える。今適当にやってみてもわかると思う。
聞いた話では、それ以外に『指を開いていると指の間から票がこぼれて縁起が悪い』からみたいな理由もあるらしい。まあ、もう無意識レベルでやっているので、指をああしなくちゃこうしなくちゃとか頭で考えることはないけどね。
喋らないときもある
街宣車に乗っていても、マイクを切る場面がいくつもある。パッと思いつくのは、葬儀屋さんの近く、保育園の近く、あとは渋滞にハマって車がなかなか動かないときなど。
葬儀屋さんの前は、やはりお葬式をされている方への配慮。保育園は赤ちゃんや小さな学年のお子さんがお昼寝をしているかもしれないから。渋滞にハマったときにずーっと同じ場所で喋り続けていると周りの車に乗っている人達や道沿いのお家にいる人達からすればうるさすぎるから。
あとは、自分(候補者)の選挙区や市区町村でない場所に入ったとき、これも必ずマイクを切る。どうしても区域外の道路を通らなければいけないときはあるので、その場合は喋らない。
ただ、統一選などでよくある、道のこっち側は何市(何区、何町)だが反対側は別のところとかいうときは普通に喋る。境目の道ですぐそこを隣の区域の街宣車が走っていることも多々ある。
統一選でもう何日も乗っていて覚える場合もあるが、範囲が広いところを担当するときは、ナビ役の人が『もうすぐ保育園のところを通ります』とか教えてくれたりする。少し前に教えてくれるので、不自然にブツって切ることのないようにさりげなくマイクを切って通過する。
はじめてのウグイス嬢
私が初めてウグイスとして働いたのは、上に書いたように同級生のご家族の方が立候補するから来てくれないかというレアケースだった。
その後の選挙でも、ずっと基準にしているのはこのときの経験。一緒に乗ることが多かったAさん(以下誰か名前を書くときはABCを使う)というブライダル司会が本業の方だった。
何もわからない私は、候補者さんの事務所に用意されていた街宣用のプリントをひたすら繰り返して読んでいたが、Aさんはもうその時点でかなりのベテラン、Aさんがしていることを観察して、私もそれなりにできるようになった。
まず、プリントに書かれた原稿を読んでいるということは、目線が完全にプリントの文章を見ている。そうなると、誰かが手を振ってくれても、同じ自治体から立候補している候補者の車が来てもパッと反応できないし、道で車を運転している方に『お先にどうぞ』と言うこともできない。
原稿を置いてくれているだけでも親切な事務所なのだが、それよりもきちんと外を見て、ベラベラ喋り続けるよりも、そのときに応じたことを簡潔に言うAさんを徹底的に真似た。
Aさんは道路標識や道に貼ってある住所表記を見て、『◯◯にお住まいの皆様』と言っていた。区域の狭い統一選だったので、私も外の景色を見て覚えた。結婚披露宴など、可愛いハプニングならいいがとんでもないことが起こったら一発台無しのお仕事をされている方の臨機応変さは素晴らしかった。
今の私は、候補者さんもしくは政党カーに乗るならその政党のリーフレットくらいあれば、原稿とか何もいらない。突然何か(大物議員さんが応援演説に来ますよとか)あってそれを言ってくれと言われても普通に対応できる。
当時の私は新人どころかただの学生素人だったので、初仕事でAさんのような方に出会えたのはもう幸運中の幸運だった。もし仮にAさんが嫌な人だったら、私は懲りてその後ウグイスの仕事など二度としなかったと思う。その後Aさんのご友人のところで別の選挙のお仕事を頂いたり、本当にありがたいご縁だった。
で、次の話。
当たりはずれがとにかくエグい
友人のご家族の方は、新人での立候補だったが見事に当選され、今も議員さんをしていると聞いている。
何の当たり外れかというと、全てにおいて。
選挙事務所もそう、候補者もそう、一緒に仕事をするウグイスもそう。誰から何を見ても当たりハズレはあり、こんなことを書いている私もハズレだと思われたこともあるだろう。
ウグイスとしてビックリするくらい当たり、ガラガラ抽選会なら金の玉を引いたような経験もある。
街宣車には、喉を酷使するウグイスのために、お茶やのど飴を乗せてくれている。あるお仕事のとき、これがお◯いお茶とミルク味のど飴だったことが。緑茶は苦手で、ミルクのど飴は口に入れるのもゴメンなさいの私…
両方嫌い…エグい。
でもそんなことは言えないし言うつもりもなく、緑茶は飲まずに自分で別のお茶を買って、梅だったか柚子だったか龍角散だったか、自分用ののど飴を買って乗っていた。
何度か乗った街宣車を降りて、桃太郎(列になっている姿が桃太郎が犬や猿を連れて旗を持って歩いているさまに似ているから)か何かやって帰ってきて、また街宣車に乗ったら、車の中にあったのは私の好きな穀物系のお茶と梅のど飴だった。
へ?
と思ったら事務所にいた女性の方が、私が緑茶やミルクのど飴が苦手だということを知り、わざわざ買ってきてくれていた。
『気づかなくてごめんね、今まで自分で買っていたぶんは、領収書に書いて出してくれていいからね』
とまで言われ死ぬほど恐縮した。さすがに自分で勝手に買ったたかだか数百円のものの金額まで請求しなかったが、なんて親切なんだろうと感動した。
かと思ったら、別のところでは、私ではないが、多分まだ慣れていないウグイスさんがお昼を食べ損ねて軽いお菓子を街宣車で食べていたり、喉も強くないのかお茶や飴の消費量が少し多かったりするということがあった。『お菓子食べながら乗ってる、窓から見えたらどうするのか』『大して使えないのに、あの人、飲み食いだけは多い』とか文句を言われていたこともある。まず、昼食を食べ損ねるなんていう事態が起こるのがおかしいのに…と気の毒になった。
ただ、本当に経験の浅い人で、失敗も多かった。事務所の人からすれば『あの人にも同じ日当を出さなきゃいけないのに』と思う気持ちもわかる。ウグイス側から見てハズレだという話でもあり、事務所側からしても決してアタリのウグイス嬢ではなかった。だから上に、全方向から見て当たりはずれがすごいと書いた。
いい人の多いところにはいい人が固まるし、『こき使わないと損!』みたいな扱いをされるときはこの人達えぐすぎるだろと思うような人が固まる傾向はある。契約のときには言われもしなかった、本来はしなくていい仕事をさせられて泣きそうになったこともある。
ムカつくウグイス嬢の話
一緒に乗ったウグイス嬢がハズレというのが、正直一番キツい。まあ、最初に書いたAさんは、内心『うわあド新人とペアかよ勘弁してくれよ』と私に対して思ったかもしれない。
私の中でいちばんハズレだったのは、司会事務所と臨時契約をしたとき、一緒に乗った人が別の事務所を経営しているベテランのおばちゃんという日があった。
Bさんとするが、朝のマイクオンのときから丸一日一緒だった。マイクオンで喋るのは私。朝なので『◯◯の皆様、おはようございます。連日連夜、大きな音量でお騒がせしております、こちらは◯◯党…』みたいなことを言った。
そのたった一言にBさんから文句がついた。『あなた常識ないの?国政選挙ではそれ言わないの』
はあ?
まあその1秒でこの人無理だわ今日地獄確定だわ…と思ったよね。
いや、国政選挙だろうがめちゃくちゃ区域の狭い統一選だろうが、朝晩ひっきりなしに来る選挙カーの声なんて普通に考えてうるさいし、言ったから縁起が悪いとか失礼な言葉だとかもない。おまけに、国政選挙でも普通にみんな言ってるけど…
もしこれが本当にBさんの言う通りのことだったとしても、第一声が『あなた常識ないの?』はないだろう。
おまけにBさん、大してミスでも何でもない私のアナウンスにケチつけるのに、政党名を何度も言い間違えていた。
そっちのほうがおかしいだろ…
そして、事務所から連絡があり、昼食は事務所に戻らず、どこかで食べてきてほしいということだった。車を停められるラーメン屋さんに入り、皆でランチセットを注文した。
そして、ラーメンが運ばれてきた瞬間、Bさんが、このネギ嫌いの私に何の確認もなくほぼノールックで、自分のラーメンに入っていたネギを私のラーメンにドバッと入れた。
↑イメージ画像です(笑)
あなた常識ないの?
朝に言われたばかりの言葉はこっちの台詞だった。私だって、仕事じゃなくて普通にラーメン食べに行ったら『あっ、私麺大盛りで、ネギ抜きで』とか言うが、選挙事務所のお弁当代わりの昼食でそんなこと言わないのが当たり前だと常識のない私でもわかっているので、自分のぶんのネギくらいさりげなくよけながら食べようと思っていたが。
まさかのネギ倍増
にさすがに無理で、私もネギは苦手だとか何も言わず、そっとネギをれんげで取って、小皿に移した。
お昼からも嫌なこと連発。休憩中に家族に連絡しようとして怒られ、Bさんが初日なだけで他の人とはもう知り合いだったから少し談笑すれば怒られ、声はいいのに常識がないとか言われ、ブチギレそうになりながらもひたすら堪えた。
事務所に戻る前、もう19時とかだったかな。今の私よりも当時すでにだいぶ年上で、ベテランできわめて常識的で下の者への指導もスパルタ指導のBさん…
明らかに疲れ始める
15分交替でアナウンスをしていたが、なんかちょっとBさんサボり気味じゃない?と思うほどで、1日教えを頂いた目下の者として私は言った。
『Bさん、お疲れですか?私、まだいけるので、次2回分(30分)やりますよ!(大丈夫ですよ、私まだ若いので♪)←心の声』
若さ溢れる私、マイクオフの時間まできっちり30分喋り、事務所に戻った。事務所に入る前、今度はBさんから『今から事務所に入るけど、応援の議員の先生や候補者さんもいるから、失礼のないようにね!!わかった?』
と、それよりまず替わってやった礼を言えよあなた常識ないの?と思ったが、この地獄の1日の恨みを晴らすチャンス到来。
『お疲れ様です!ただいま戻りました!』
と事務所に入った私。もう選挙戦も数日目だったため、名前にちゃん付けで呼ばれるくらいの人間関係を既に築いていたのだ。明らかに戸惑うBさん。
『やっぱり◯◯ちゃんの声は溌剌としてていいなぁ!事務所よりだいぶ遠いとこからでもハッキリ聞こえて、ちゃんと時間に終わるように喋れて何とかかんとか』
『今日の昼は◯◯ちゃんいないから弁当余ったよ!(笑)食べっぷりが見れず寂しかったよ。お腹すいてるだろうに、さあ、何か食べて!』
『家族の人に電話してあげた?大丈夫だった?今日は何々の駅まで夜の駅立ちに行くから帰り一緒に乗っていこうよ』
(↑ちなみにわかりやすくしてるだけで全部方言なんだけどね)
Bさんはそれを見て、明らかに動揺し、明らかに不機嫌になり、さっさと帰っていった。その後電車に乗った頃、何か忘れたがド長文のメールが届き、これ以降の連絡は選挙事務所の責任者のCさんと取ることに決まっていたため、ネギぶち込みレベルのノールックで連絡先から消した。
スカッとじゃぱんに出したいと今でも思う。
その日、ナビ役で乗っていた人に、『私はそんなに非常識でしたか…?』と聞いた。
『いえいえ、全然そんなことないですよ。僕もただの手伝いなので、何も言えなくてすみません。今日、きつかったですよね…』
これが、責任者Cさんに聞こえていたのだ。当然、何があったのか聞かれ、ナビ役の人が地獄の1日を説明してくれた。Bさんの人柄を知っていたようで、もうあの人とペアで乗ることはないから安心してほしいと言われた。
人との出会い、関わり
選挙ウグイスのお仕事を通じて、たくさんの方々と出会う。選挙事務所では、挨拶は当然のことだし、どんなときでもお疲れ様です!ありがとうございます!何かお手伝いすることはありますか?と言う。良き人間関係を築くのは、そこでの仕事を必ず良いものにしてくれる。
応援に入っている議員さんや、候補者さんの友人の方々、いろんな人とお話をした。今も繋がりのある人もいる。
誰がどんな関係でその事務所に来ているかなんてお互いにわからないが、その選挙に関わる者同士、仲が良くて損なことなんてひとつもない。
Bさんみたいな人との出会いも今では勉強のひとつだと笑い飛ばせるしこうやって書ける。あのとき、正直しみじみと思った。
ああ、よかった。Bさんが自分の姑とかそういうずっと関わりのある人じゃなくてよかった。1日だけの付き合いで済む人で本当によかった。
そして、今後私が自分より若くて経験の浅いウグイスさんと一緒になったとき、どんなに常識のないことをしたとしても、Bさんのような物言いは絶対にしないと胸に誓った。
みんな頑張ってる、みんな疲れてる。互いに支え合い励まし合い、みんな一丸となれてこその選挙戦だ。
私達ウグイスに言葉をかけてくれる有権者の方もいる。候補者さんが乗っていない街宣車を停めていたとき『お姉ちゃんたちもしんどいだろうけど、頑張ってね!何々さん当選させてあげてね!応援してるって伝えてね!』と言ってくれる方々もいた。事務所で何日も一緒の人達だけでなく、そこで会って一言話すだけの関係でも、とても励まされる。(うるさい!!と怒られることもあるが、確かにうるさいのでこれは謝る。)
これから先、ウグイスのお仕事をする人達がいたら、事務所ではぜひいい人間関係を築いてほしい。挨拶は欠かさず、ニコニコ元気にしていよう!
そんなウグイスに嫌な対応をしてくる人がいたら、わかってくれる人に相談しよう。
たとえどんな候補者でも
使ってもらっておきながらだが、候補者の人にムカついたこともある。それでもウグイスは選挙戦のあいだ、この人に一票をお願いしますと、雨が降ろうが寒かろうが何だろうが、ずっと言い続けているのだ。こんな人が議員になるの?ありえなくない?とか思ったこともある。でも、
当選を願う。
理由はね、落選した場合より何となくお給料もすんなりもらいやすいよね?人が変わったようにありがとうありがとうみんなのお陰ですって言うしね(笑)終わりよければ全てよし。
それに、選挙戦中ずっと、その人を当選させようと必死でやってるんだから、落選したらこっちまでショックだし。
めちゃめちゃいい人だった場合、もう本気で神頼みレベルに当選を願う。こんないい人なんですよ、議員さんになったら、必ずや素晴らしい働きをされる人なんですよ、私達ウグイスにだって親切で話を聞いてくれる人なんですよ、と。少々しんどい仕事でも、自発的にやろうとかまで思うこともある。
そして、これから議員さんになろうと思う人がもしこんな駄文を読んでいたら…
見えないところで一生懸命やってくれる人を、どうか大切にしてほしい。
ウグイスだって死ぬほど激務。ドライバーの人も普通の運転とは比べものにならないほど色々な工夫をして半日運転してて疲れる。事務所でチラシを折ったり葉書の確認をする人たちも手が震え出すほど疲れている。
『ありがとう、お疲れさま』と労ってあげてほしいと思う。金出してるんだからやって当たり前だろみたいな態度の人もマジでいるけど、大事にしてもらったら頑張れる。本当にこれなのよ。
選挙が終わり、今回も色々な思いをしたウグイス嬢がいることと思う。もう、これでも十分きわどいことを書いたが、書いてないけどエグいこともいくらでもある。
また選挙があったときには、ウグイス嬢も頑張ってるんだななんて思い出してください(笑)